【中の人のよもやま話】題名のない小説(その9)

「それでは授業を始めます。」

いつも以上につまらない授業が淡々と進んでいった。

教科書を棒読みする筒浦先生の見ていないスキを狙って僕らは行動する。

大学ノートを回してサトウ先生を学校から追い出さないための署名を集めている。
もうすでに3冊分もたまっている。

僕らは僕らなりのハッピーエンドを仕掛けるつもりだ。

4時間目の授業が終わる頃、僕は父さんとの約束の通り早退した。

——————————–

秋も終盤に差し掛かり、吹く風も涼しさから肌寒さに変わり始める。

待ち合わせまでまだ時間がある。

そうだ、久しぶりに母さんのお墓に挨拶してこよう。

この道を右に曲がり、しばらく歩くと大きな門が見える。そこをくぐって長い階段を上がるとお寺さんだ。

庭を掃除している顔なじみの住職さんに「こんにちは。」とあいさつ。

「おお、こんにちは。君も来る予定だったんだね。お父さん、もういるよ。」

「え?父さんいるんですか?」

「ああ、ついさっき入っていったところだよ」

行ってみると、母さんのお墓の前に対峙している父さんがいた。

なんとなく僕は少し離れた所から様子をみることにした。

母さんのお墓の前で何かを語りかけていたからだ。

「…×××だったよな~。あの時オレはテンパってて何も出来なかったが、お前は根性座っていたよな…」

父さんははじめは楽しそうに話していたけど、だんだん口数が少なくなっていた。

「…でさ、オレたちの間にタクミが出来たって報告聞いた時、そりゃ嬉しかったぜ。医者の説明聞くまではな…。」

僕はだまって聞いていた。

「オレはもっと自分を大切にして欲しかった。お前を何より失いたくないオレの気持ちも考えて欲しかった。なのにお前は自分の体のことより子供をあっさり選ぶことにオレは耐えられなかった。」

…。

「そりゃ、タクミはかわいいよ。でもな、お前がいなかったらそれも意味ねーんだよ。」

嗚咽と共に感情を吐露する父さんの姿を見て、父さんのウソ偽りない心を知った。

-お父さんと真っ直ぐに向き合ってあげてね…-

頭の中でマシロの声が響いた。

「父さん!」

僕は思わず父さんの元に駆けつけ抱き着いていた。

「なっ…なっ…なんだ、タクミ?

「やだよ、父さんもういなくならないで!置いてかないで!僕もういやなんだ。父さんがいないのがいやなんだっ。」

「タクミ…」

僕はもう何が何だか分からないくらいずっと泣いていた。

 

(その10へ続く)

 

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