【中の人のよもやま話】題名のない小説(その5)

翌朝。

いつもの通り眠気覚ましに顔を洗い台所にいるおばあちゃんに、「おはよ。」と声をかける。

「…。」

…ん?

「おばあちゃん…?」

「ん?…ああ、おはようさん」

「どしたの?」と椅子を引きながら僕はちょっと心配で聞いてみた。

「何でもないよ。早く朝ごはん食べな。いつまでも片付かないよ。」
そう言いながら慣れた手つきでご飯をよそう。

…変なの…。

学校に着くと、下駄箱前でアツヒコとマサチカに会った。

「よっ、おはよっ。」

「おはよ。タク。」

「…おはよ。」

昨日の今日だ。バツが悪い。

何となくぎこちない空気感のまま、時間が止まったようなその時。

「…えて!」

「ん?」一瞬耳の奥で誰かに何か呼ばれたような気がした。
背筋の肌がざわつき振り返る。

「おっと…なんだよタク。」
視線を戻せばアツヒコとマサチカ。

「あれ?…何でもない。」

「なんだよ、タク。ひょっとして幽霊の声でもしたんか?」

僕は全力で「まさかー?」と手と首をブルブル横に振った。

「あー何かよく聞くんですよね~。3組女子の中に幽霊っぽいのを見たって子が…」
「マジでか?そんなんある訳…」
「あ~アッちゃんもしかして信じているんですか~?」
「いや違うって、そんなんいねーって…」
「アハハハ」
男ってのはいつでも単純だ。昨日の気まずさがこれで一気に吹っ飛んだ。

そんな時、

キーンコーン♪カーンコーン♪
     キーンコーン♪カーンコーン♪

ヤバイ。うちのクラスは開始のチャイムから朝の点呼は早い。急いで入らなきゃ。

 

——————————–

 

今日も退屈な午前の授業が終わったその時、急に眠気に襲われた。

「…っ!…クっ!…タク!…タクミっ!!」

マシロがすごい勢いで僕を揺さぶる。

「ん…マシロ?・・・ここは…?」

「そんなことはどうでもいいのっ!!早くおばあちゃんを止めてっ」

え?えええ?

周囲を見渡すと霧がかった大きな川があり、その中へ自ら一歩一歩ゆっくり入っていくおばあちゃんの姿があった。

「おばあちゃんっ!!」

おばあちゃんを止めるため、僕はダッシュで走ったけれど、途中で見えない壁にはね返された。

なんだこれ?

「おばあちゃん!おばあちゃん!!おばあちゃん!!!」

だめだ。力いっぱい叫んでも少しもおばあちゃんに届かない。

どうすればいいんだ。

突然の展開に背筋から嫌な汗が流れる。

どうすれば。どうすれば。どうすれば。一体どうすれば良いんだ?

焦る僕の横で、マシロが何かを見つけた。

「ああ、“まる”と“華”がいる…。…そうかっ!!」

おばあちゃんの足元を見ると、懸命に止めようと引っ張る二匹がいた。

…どういうことだ?

考える間もなくマシロが僕に、
「行って!おばあちゃんを助けに。お願い行って!!」

「え?え?え?何?どういう…?」
とまどう僕を思いっきり突き飛ばした。

「うわーっ!!」

一気に奈落へ落ちたような感覚と共に目が覚めた。

 

(その6へ続く)

 

 

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