【中の人のよもやま話】題名のない小説(その11)

あれから三年。

僕ははれて中学生になる。

中学っていっても地元の学校だからそんなに大差はない。
ただ、アツヒコとは一緒だけれど、マサチカは私立に行くことが決まっていた。

「アッちゃん、タク…ボクがいなかったら二人共ダメになっちゃうかと心配で心配で…必ず毎日メール下さいよ。絶対だからねっ!」

何度も何度もくり返し念をおしてくる。

……おまえは女子か!?

「ほらっ、お前ら来年から中学上がるってのにまだそんなアホなコントやってんのか?」

持っていた名簿をポンっと僕の頭に置く。

その人は、サトウ先生だ。

僕らが興した署名活動と僕たちの味方になってくれた校長先生らの教育委員や保護者会への献身的な働きによって、半年後に復帰できた。

僕らとは考え方も感じ方も全く違う人がいて、すごく大変だったけど、おかげで僕らが望んでいたハッピーエンドにありつけた。

そして、もう一つ…僕にとってのハッピーエンドが今夜待っているなんて思いもよらなかった。

夕食、おばあちゃんの作った生姜焼きチキンを食べ終え、食器を片付けていると父さんが、

「タクミ、昔の母さんのビデオを店でDVDにして貰ったんだ。見るか?」

「ーーーーーーーーうん。」

僕は急いで食器を洗い、居間に行く。

DVDをデッキに入れながら、父さんは言った。
「これはお前が生まれるずっと前の映像なんだ。遺品の奥にしまってあったのを偶然見つけてな。1枚のDVDにまとめて貰ったんだよ。」
「へぇ…。」

僕はなぜか胸がドキドキした。

ザザザーーーー…

画面いっぱいの砂嵐の後、映ったのは海。砂浜だった。

時折不鮮明でピンボケする映像の中、ふいに潮風に吹かれてはためく真っ白いワンピース。

あ…。

その華奢な後ろ姿。肩まで伸びた黒い髪。

ああ…。

ゆっくりと振り返って見せた笑顔に、僕は息をのんだ。

「なつかしいなぁ、父さんと母さんな、お前くらいの時に初めて会ったんだ。サマーキャンプで色々な経験したなぁ。」

見るとそっくりな男の子とふざけ合ってる。

父さんだ。

モニター画面の中で二人は幸せそうに笑い合っていた。

僕が生まれて母さんが死んで、父さんは悲しみに耐えきれず、一度は遠くに行っちゃったけれど、こうして戻ってきてくれて改めて僕と親子になってくれた。

そんな父さんへの母さんからのプレゼントなのかもしれない。

…ここは僕が引いてやるか。

映像から片時も目を離さない父さんの肩にそっと手を置き、静かに居間を出た。

 

 

(その12に続く)

 

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